BLOG|矯正の本音

矯正歯科に関する正しい知識や情報のご提供、医院の活動のご報告などを連載していきます。

2019.04.03

下顎前突を放っておくリスクについて

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今日は子供の矯正治療でも比較的多くの相談を受ける下顎前突について書いてみます。

下顎前突は、反対咬合、受け口、しゃくれ、と色々な呼び方がありますが、実は、下顎の第一大臼歯(奥から2番目の歯、親知らずを入れると3番目)が上顎の第一大臼歯よりも前方にずれている症状のことを言います。正確に言うと、第一大臼歯の位置関係の問題なので、下顎前突にもかかわらず、下顎がイメージするように前に出ていないというケースもあります。

8020運動(80歳までに20本以上の歯を残す)の達成者の中に反対咬合の患者さんがいなかったという歯科大学のレポートは有名ですが、見た目だけでなく、それ以上に噛み合わせ、咀嚼の問題、消化吸収の問題など多くの健康に影響する状態であるということもわかっています。

まず、下顎前突にはいくつか原因が考えられます。

下あごが急成長した、あるいは逆に上あごがうまく成長しなかった(劣成長)など、骨の成長に関係する「骨格性下顎前突」や、下の歯が前に倒れて生えていて、食べ物を噛む度に下顎を前に押し出す力が働いてしまうことによって下顎前突になってしまうという「機能性下顎前突」があります。


小児矯正で来院される患者さんの多くは上顎劣成長が原因で、その更に原因を検査していくと、遺伝の場合、日々の癖などが挙げられます。日々の癖とは、上唇を噛む癖があったり、舌癖によって下顎を前に出してしまうなどがあります。

今日のテーマ、「下顎前突を放っておくことのリスク」について考えてみると、様々な問題につながってくるのが見えてきます。

まず、放っておくと悪化する可能性が高いのが下顎前突です。上に書いた機能性下顎前突だとイメージしやすいのですが、下あごが前に出ている状態を放っておくと、食べ物を噛む度、力を入れる為に歯に力を入れる度、下あごを上あごが押し出す力が働き、症状が悪化していきます。

下顎前突の症状が悪化すると更に健康や日々の生活に支障をきたしてしまいます。まず発音です。上下の前歯が噛み合うことがなくなり、特にサ行などがうまく発音できなくなります。

また健康にも影響が出てきます。上に書いた通り、上下の噛み合わせがないので、うまく咀嚼できません。消化吸収の1番入り口がうまく機能しないため、栄養吸収にも影響が出てきます。更に噛む度に筋肉バランスがおかしくなり、顎関節症などの発症につながてしまうリスクも出てきます。

このように放っておくと様々な別の問題につながってしまう下顎前突ですが、子どものうちに治療をすることで、症状の悪化を防ぎ、更に骨の成長を促しながら治療することで比較的患者さんの負担を少なく治療することが出来ます。

成人になってからの治療だと、場合によっては外科処置が必要になるケース(骨切り)も出てきます。

放っておくと症状が悪化し、日常生活に大きく影響を与え、健康にも関係する不正咬合なので、出来るだけ早い段階での検査をお勧めしています。

2019.03.28

裏側矯正の理由

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、「裏側矯正を選んだ理由」というテーマでお話していきたいと思います。

最近の日本では特に、裏側矯正(リンガル、舌側矯正)を見えない矯正治療として選択されるケースが増えてきています。なぜ世界と比べて日本で裏側矯正が支持されているかというと、矯正装置(ブラケットやワイヤーなど)を装着しているところを見られるのが恥ずかしいと感じる人が多いということが最大の理由ではないかと思います。

裏側矯正は表側矯正より見えにくい歯の裏側に矯正装置が付くため、特に細かい作業が必要なことがあります。日本人は良く器用な人種だと言われているように、細かい作業を得意とする専門医が多いということも理由としては挙げられるかと思います。世界舌側矯正歯科学会でもよく日本の矯正医が参加しているのを見かけますし、講演している矯正医も比較的多いように感じます。

ですが、細かい作業や専門的な技術が必要な裏側矯正は全ての矯正歯科医院で受けられるというわけではありません。症例によっては裏側矯正が難しい場合などもありますので、受けられないこともあります。

ではここで実際に裏側矯正で治療を受けている患者さんに対して、裏側矯正を選んだ理由を尋ねるアンケートがありましたので、ご紹介します。

■周りに知られないように治療したい
やはりこの理由が一番多いと思います。当院でも、裏側矯正を希望される患者さんで一番多い理由だと思います。

■食事の問題
これは見た目の問題と少し重なるところがありますが、矯正治療中はブラケットやワイヤーなどの矯正装置の隙間に食べ物が挟まってしまうことがあります。すぐにブラッシングを行なえば問題ないのですが、そのまま放置するのは見た目的にあまりよろしいものではないかと思います。そういったところで、裏側矯正なら見えないところに矯正装置が着いているので、食べ物が挟まったとしても見た目の問題としては影響が少なくて済みます。外回りの営業の方などで多い理由かもしれません。

■イベントがあるので裏側矯正を選んだ
結婚式や就職活動などという人生の大きなイベントの前に治療を検討される方は増えてきています。しかし、矯正治療は比較的長い期間矯正装置を着けて治療を行うため、イベントまでの残り時間が少ないと治療が終わらないこともあります。表側矯正だと一旦外してまた装着するなどの時間や費用面での負担もありますが、裏側矯正だと治療中でも気付かれることなくイベントを迎えられるので選択する人が多くなっています。

この様に、裏側矯正を選択するメリットというのはたくさんあるかと思います。先程も言いましたが、症例によっては裏側矯正が難しい場合などもありますので、その際には他の選択肢を提示させていただくことがあります。しかし、矯正治療は長い期間を掛けて行なうものですので、少しでも患者さまの納得がいく治療方法を選択していただけるように努力はいたします。ですので、ご希望の方は遠慮なくご相談ください。

2019.03.01

矯正治療中の食事

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、矯正治療が食事にどのような影響を与えるのかということについてお話していきたいと思います。

食事に関してよく患者さんから問い合わせがある項目についていくつか紹介していきます。

■食事中の痛みについて
矯正治療中、食事の際に、個人差はありますが痛みを感じることがあります。これは歯を動かす時に、歯槽骨で骨吸収と骨再生が繰り返し行なわれ、その間の歯根膜部分が炎症を起こすことによって痛みが発生するという仕組みです。
ただこの痛みは動き始めのタイミングなど限られた期間で発生するのが一般的です。痛みがある時期には硬いものを食べるのは控えていただくことがありますが、すぐに慣れて食べられるようになるためそこまで心配していただく必要は無いかと思います。

■ブラッシングについて
矯正治療では、歯にブラケットやワイヤーなどの矯正装置を装着しています。そのため、歯と矯正装置の間に隙間が出来やすく、食べ物が挟まりやすい状態になります。食事後にすぐブラッシングをしていただくことでこの問題は解決できますが、会食などですぐにブラッシングを行なうのが難しい方や少しの間でも挟まるのを見られるのが嫌だという方には裏側矯正(舌側矯正、リンガル)をお勧めすることがあります。
裏側矯正は、歯の裏側に矯正装置を装着しているため、食べ物が挟まっていたとしても見た目に影響することがありません。しかし、表側矯正でも裏側矯正でも、虫歯のリスクという観点からブラッシングはしっかりと行なっていただくようにお願いしています。ブラッシング指導なども行なっていますので、不明点などは聞いていただけたらと思います。

■矯正装置について
金属の矯正装置を使用する場合は、破損に関するリスクは低くなります。しかし、プラスチック素材・セラミック素材などの矯正装置では変形や破損のリスクが少し高くなります。また、矯正装置が破損しなくても、接着している歯から外れてしまうこともあるため、少し食事での意識をしていただいています。硬い食べ物を口いっぱいに頬張ったり、キャラメルなどのくっつきやすいものは極力控えていただくのが無難です。

この様に、食事に関して少し気をつけていただくことはありますが、食べる物がすごく制限されるということはありません。矯正治療は年単位での治療計画になりますので、我慢しすぎず、上手に治療期間を過ごせるように私達もアドバイスを行っています。もちろん患者さんからの質問などにはきっちりとお応えいたしますので、一緒に満足度の高い治療期間を実現していけたらと思います。

2019.02.26

部分矯正とは

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、部分矯正についてお話していきたいと思います。 部分矯正はM.T.M.(Minor Tooth Movement)とも言いますが、歯列の中の一部分だけを矯正治療によって改善するという治療法です。治療期間が短く済んだり、費用が安く抑えられるなどの理由から行なわれる症例も増えていますが、メリットと同時にデメリットももちろんあります。そういった点を少し詳しくお伝えしていきます。

■メリット
・治療期間が短くて済む 一部分だけを動かして治療を行っていくということから、歯列全体を動かす通常の矯正治療よりは短い期間で装置を外すということが可能になります。
・費用が安く抑えられる 上の理由とも重なりますが、部分的に治療を行うため矯正装置の費用が安く抑えられます。また、治療期間自体も短くなるため、診療費を抑えられることが挙げられます。
・治療中の負担軽減 部分的に矯正装置を取り付けるため、通常の矯正治療より口腔内での違和感が少なく、ブラッシングの手間なども軽減されます。

■デメリット
・咬合改善が難しい 部分矯正は一部分、主に前歯周辺の治療のみを行うため、臼歯(奥歯)の咬み合わせを改善することが難しくなります。臼歯の咬み合わせが整っていないと、他の歯に影響を及ぼしてしまい、部分矯正で一時的に改善したとしても再度歯列が乱れてきてしまう可能性があります。 
・適応症例が限られる 部分矯正は軽度の叢生(凸凹、乱ぐい歯)などを改善することは可能ですが、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(反対咬合、しゃくれ)などの重度の叢生(凸凹、乱ぐい歯)などの不正咬合症例では治療を行うことが難しくなります。



この様に、部分矯正にはメリットとデメリットが存在しています。結婚式や就職活動の前に印象を良くするために素早く治療をしたり、過去に矯正治療を行っていたが、少し後戻りしてきたので部分的に治療をするという患者さんはたくさんおられます。

ただデメリットの部分でも書きましたが、全ての患者さんで治療が行なえるわけではありません。不正咬合の状態によっては臼歯の咬合関係を改善しないと治療が出来なかったり、軽度の場合でも長い目で見て咬み合わせがしっかりしていないと再治療の可能性が高くなってしまいます。

とは言え、なかなかご自身で判断するのは難しいと思いますので、部分矯正での治療がご希望の場合は、その旨をご相談いただけたらと思います。治療が可能かどうかの検査と診断を行い、ご案内させていただきますので、そこから改めて治療の方法を選択していって貰えたらと思います。

2019.02.08

不正咬合の原因となる癖のチェック

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、歯並びを悪くしてしまう可能性がある癖についてお話していきたいと思います。癖はなかなか自身では気が付きにくく、無意識のうちにやってしまっていることが多いので、ご家族同士でこれから書いていく癖が無いかを相互チェックしてみるとわかりやすいかもしれません。子どもだけでなく、もちろん大人の方でも不正咬合につながる可能性がありますので、しっかりチェックしてみてください。

■舌癖
舌の正しいポジションは、上顎前歯の根元に軽く当たるような位置になります。ここに舌が無いと、歯を押して上顎前突(出っ歯)になってしまったり、逆に歯を支えることが出来ず、歯が内側に倒れこんだりしてしまうことがあります。

■指しゃぶり、爪を噛む
指しゃぶりや爪を噛む癖があると、前歯が前に引っ張られる力が働いてしまいます。そのため、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口、反対咬合)、開口(オープンバイト)になってしまうことがあります。

■唇を噛む
唇を噛むと、上下どちらかの歯が外に出た状態で力が掛かっていると思います。そのまま力が掛かり続けると爪を噛むのと同様に、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口、反対咬合)などになる可能性が出てきます。

■口呼吸
鼻炎などで鼻が詰まって口で呼吸してしまったり、ボーっとして口が半開きのまま呼吸をしたりと原因は様々です。しかし、口呼吸を続けていると虫歯や口臭の原因になったり、舌を正しい位置に置けないので舌癖が出てきてしまったりします。

■食事の仕方
昔と比べると柔らかい食べ物が多くなってきており、食事の時にしっかりと噛まなくなってきていることが問題視されています。しっかり噛まないと、咀嚼筋が弱くなり、歯を支える骨も弱くなってしまいます。消化の観点からもしっかりと噛むということは大切なことです。

■頬杖
頬杖を付いていると、左右どちらかの方向に力が掛かってしまいます。そうすると歯列が左右にずれたり、顎関節に悪影響を及ぼしてしまうことにも繋がってきます。

■歯ぎしり
ストレスなどが原因で歯ぎしりは起こりますが、これが続いてしまうと歯に過剰な力が掛かってしまいます。歯がすり減ったり、割れてしまうこともありますので注意が必要です。また、顎関節にも悪影響を及ぼす可能性もあります。

矯正治療を始める際には、この様な癖が無いかのチェックはしっかりと行っています。癖を取り除いていかないと、せっかくきれいな歯並びになったとしても後戻りリスクが高くなります。今はそこまで歯並びが気にならないという方でも、この癖が続くと徐々に悪くなってしまうこともありますので、事前に防げるものはしっかりと防いでいただけたらと思います。

2019.01.30

拡大床(かくだいしょう)について

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、お子さまの矯正治療で用いる拡大床についてお話していきたいと思います。

拡大床という言葉を聞いたことが無いという人も多いかと思いますが、これは矯正装置の一種です。上顎の歯の裏側に装着するもので、歯列の幅(顎の幅)を広げる時に使うものになります。

ではこの拡大床を使用するメリットを紹介していきます。

■非抜歯(歯を抜かない)治療の可能性
お子さんの矯正治療の際に、骨の成長の余地が大きく残されていると、歯列の幅を拡大しやすくなります。そうなると歯列全体の歯が並ぶスペースを確保しやすくなるので、非抜歯(歯を抜かない)で治療を行うことができる可能性が高くなることもあります。

■目立ちにくい点
拡大床は歯の裏側に装着する装置で、患者さま自身で取り外しが出来ます。お子さんで学校に付けていくのが恥ずかしいから嫌だと言われる場合も、帰宅後から翌朝登校するまでの時間装着するということも出来ます。ただ、症状の程度によってはもっと装着時間を長くしていただく必要もありますので、全員が同じではないということはご理解ください。

この様に書くと、すごく優れた装置だと思われがちですが、安易に拡大床を使用したことによるトラブルも多く発生しています。「治療費が安くて済む」「確実に非抜歯で治療を行なえる」などの宣伝を見て治療を行ったが、上手く治らないというトラブルが主たるものだと聞いています。

矯正治療というものは、弱い力を持続的に掛けることによって骨の吸収と再生が繰り返され、歯が動いていきます。そのことを考慮せずに拡大床で安易に力を掛けてしまうと、歯列の幅が広がるのではなく、歯の先端だけが外側を向いてしまうこともあります。いわゆる上顎前突(出っ歯)、鋏状咬合(歯がすれ違って噛む)の状態になってしまうので、不正咬合の状態が悪化してしまう結果にも繋がります。


どの様な装置にもメリット・デメリットはありますので、しっかりと患者さまの口腔内の状態を把握し、使用する材料を選択することが大切です。ご希望の装置を使用できないという場合もありますが、無理に装置を使ったことが原因で上手く治療が進まないという方が問題ではないでしょうか。もちろん可能な限りご希望には沿うように治療計画を考えてはいきますので、その点はしっかりと相談させていただきたいと思います。

2019.01.08

歯にかかる力をコントロールする

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

年末、年始にかけて、受験を控えたお子さんや親御さんから「受験前なのですが、矯正治療を始めても問題はないでしょうか」という質問を受ける機会が多くなってきます。ですので、今回はこのテーマに関することをお話していきたいと思います。

こういった質問をされる場合、一番心配されているのは治療の際の痛みについてではないかと思います。「痛みで勉強に集中できなくなったらどうしよう」という不安からこういった質問になるのかと思いますが、痛みという問題はかなり個人差があるため一概にお応えをすることは難しいです。同じ様な症状で同じ矯正装置を使ったとしても痛みの感じ方は千差万別で、ほとんど影響がない患者さんもいれば、矯正装置を装着したすぐは痛みを結構感じるという患者さんもいます。

こうした痛みに対応するために私たちが治療を決めた患者さんに出来ることと言えば、歯にかかる力を一時弱くするということです。通常は細いワイヤーから少しずつサイズを上げて(太く)いき、徐々に歯にかかる力を大きくしていきます。そのため、受験の少し前の日から一定期間だけワイヤーのサイズを細くすると、歯にかかる力が弱くなるので痛みは軽減されます。ただこの状態をずっと続けてしまうと、並びかけていた歯列がまた動き出してしまうこともあるため、応急処置だと考えていただければと思います。

私たちのところでもこういった説明を行った上で、治療を始めるかどうかを考えていただいています。すぐ始める方や受験が終わるまで待つという方も居られますし、相談に来たからすぐに始めないといけないということはないのでご安心ください。

ですが、症状によっては早く治療を開始することを勧めるときもあります。例えば、下顎前突(しゃくれ、反対咬合)などで、食べ物を噛むときに上顎の歯が下顎の歯を押し出すような動きをしている時は注意が必要です。そのまま放置してしまうと、より下顎が前に出てしまったりすることにもなりかねませんので、早めの治療をご提案することもあります。

いずれにしても、患者さんの症状を見てみないことには判断することは出来ません。検査・診断をした上で、不安なら受験が終わってから治療を開始する計画なども踏まえてご案内することも出来ます。

先程から受験に絞ってお話してきましたが、就職活動や結婚式などの人生のターニングポイントになる時は不安の気持ちも大きくなります。そういった不安な気持ちもしっかりと考慮して、患者さんにとってどうすることが一番喜んでもらえるのかを考えていけたらと思います。

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