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CLINIC
院長ブログ
2020.1.9
犬歯の萌出障害について

明けましておめでとうございます。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は、犬歯の萌出障害に注目してお話していきたいと思います。

言うまでもないかと思いますが、犬歯とは前歯(一番前の歯)から数えて3番目の歯で、少し尖ったような形態をしています。昔は裁縫の時にこの歯で糸を切っていたことから糸切り歯などの呼ばれ方もありますが、本来は食べ物を切り裂くといった役割を持っている歯です。他の歯と比較してみると、歯根(歯茎に中に埋まっている歯の根っこの部分)が一番長く、強いという特徴があります。これは、食べ物を切り裂くときに強い力が掛かるということもありますが、犬歯は咀嚼の時に顎の動きが正しくなるようにガイドするという大切な役割があるため、強い力にも耐えられるような特徴を持っています。

若い方に多いかもしれませんが、犬歯と聞くと八重歯を連想し、その状態が可愛い、羨ましいと思われがちではないかと思います。八重歯は犬歯だけの呼び方ではなく、歯列からはみ出している歯のことを指して呼んでいるのですが、一般的には犬歯がそうなりやすいので八重歯といえば犬歯というイメージがついています。

この八重歯は、顎が小さかったり、1本1本の歯が大きいなどで、全ての歯が歯列の中に並ぶスペースが無いことで起きます。そうすると、後から生えてくる歯が並ぶスペースが無いため、歯列の外にはみ出した状態で生えてきてしまいます。犬歯は生えてくるのが前歯や臼歯が生えてからなので、はみ出してしまいやすい歯(八重歯)という認識が強いのだと思います。

八重歯も含めて、歯の萌出に何らかの障害があるケースで最近注目されているのが、隣接歯の歯根吸収のリスクについてです。犬歯は他の歯が生えてから出てくる歯のため、生える角度が悪いと、隣接歯の歯根にぶつかりながら生えようとしてしまいます。歯根は強い力が継続的にかかってしまうと、歯根吸収といって溶けてなくなってしまう現象が起こります。歯根吸収は初期症状ではほとんど自覚症状が無いため、レントゲンやCTを撮影して確認するまでわからなかったということもよくあります。


とは言いましても、こういった症状は決して多くはないため、そこまで深刻に捉える必要はないかと思います。お子さんの歯の生え替わりに時期に歯の傾きがおかしくないか、いつまでも歯が生えないままになっていないかといったことをチェックしていただき、気になる場合は歯科医院を受診していただくと、レントゲンやCT撮影で今の状況を確認して対応するといったことも可能です。

こういった萌出障害も含めて、お子さんの小さい時から歯並びをチェックしておくことで将来の歯並びをある程度コントロールしたり、事前に対応してくといったことも考えられます。定期健診のつもりで、何か気になることがある場合は、いつでもお気軽にご相談いただけたらと思います。