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CLINIC
院長ブログ
2012.10.10
矯正治療と歯の移動に伴う痛み

メープル矯正歯科院長の山口です。

矯正と言えば、知り合いの矯正経験者から「痛い」イメージを植え付けられていると思います。

たしかに昔の矯正は、材料に乏しく、固い針金にいろいろたくさんループを組み込んで、少しでも力を弱める配慮をしていました。ただでさえブラケットが目立つのにさらにループの多い針金を入れてしまうとけっこう目立ってしまいます。


最近では、超弾性のニッケルチタンという針金ができ、細さは髪の毛くらいです。 とても柔らかいため、昔ほどの痛みはありません。当院でも模型が置いてあるので、一度触ってもらえれば、その細さと柔らかさにびっくりすることと思います。

痛みはどうして起きるのでしょうか?

歯は直接、歯槽骨という骨の中にくっついているわけではありません。歯は歯根膜という繊維を介してトランポリンのようになって浮いています。
矯正治療により歯が動くときには、歯根膜が伸びる部分と縮む部分ができます。歯根膜は一定の幅を保とうとします。つまり歯根膜が伸びた部分は骨が作られ、縮む部分は逆に骨が吸収されます。これを繰り返して、歯は動いていきます。この骨を作ったり、溶かしたりする際に細胞から化学物質が放出されています。この物質には痛みを引き起こす作用があります。そのため、矯正治療中に痛みが出ることになります。

痛みは、個人差はありますが、イメージとしては、虫歯のづきづき痛みと違い、歯が浮いたような鈍い違和感が大半です。針金を入れた夜から2,3日、食べづらいことがあります。しかし、それを過ぎると今まで通りの生活ができるので、ご安心ください。
痛み止めの薬を飲んでしまうと、歯の移動に関与する物質が抑制され、歯の動きが悪くなると言われています。通常は、矯正治療をされているほとんどの方は痛み止めなしで過ごされています。

それにしても、「痛み」っていう作用は何のためにあるんでしょうかね??(^_^;)
今までに経験のない力が加わってるぞ!注意しなさい!!というようなことを本能的に脳に知らせているのかもしれませんね。いわゆる自らの生命を守るための原始的な自己防衛本能が備わっていることでしょうかね?生体の不思議ってところでしょうか?

でも逆に考えると、
「おお!この痛みによって歯は動いているんだ」というポジティブに喜びとして捉えてみてはいかがでしょうか?!(^^)!