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CLINIC
院長ブログ
2017.8.30
癒合歯

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今回は少し珍しいものなのですが、癒合歯(ゆごうし)について説明していきます。この癒合歯というのは、隣同士の歯がくっついた状態で生えてくることで、主に乳歯で見られることが多いです。乳歯で5%未満、永久歯で0.4%未満で発症するというデータも出ています。乳歯の下顎前歯で起こることが多く、原因としては遺伝ということが挙げられていますが、まだはっきりとは分かっておらず、根本治療に至るのは難しいとされています。

この癒合歯に関しては慌ててすぐに何かをしないといけないということは少ないです。癒合歯でまず見てもらうことは、くっついている歯の間に溝があるかどうかということです。この溝が直接的に悪影響を及ぼすというわけではないのですが、隙間や凹凸が多いと磨き残して虫歯などのリスクにもなりかねません。きちんとブラッシングの指導を受けるか、溝を歯科用のプラスチック素材(シーラント)で埋めてしまうのが良いのではないかと思います。

ただ癒合歯でも少しやっかいな問題を引き起こす場合もあります。乳歯期に多い癒合歯ですが、この癒合歯があると永久歯の先天性欠如(数が少ない)の可能性が高くなります。そうなってしまうと、欠損で歯の間に隙間が出来て隣の歯がその隙間に倒れこんでしまったり、移動してきてしまったりすることが考えられます。その結果、歯列が乱れて不正咬合の状態が悪化してしまったり、ひどい場合では噛み合わせのときに顎関節に悪影響が出てきてしまうこともあります。

↑レントゲンのアルファベットが乳歯、数字が永久歯を表します。BCが乳歯の癒合歯です。本来はBの下に2の永久歯、Cの下に3の永久歯があるのですが、この場合、2の永久歯がありません。

いずれにしても、今どの様な状態で今後どの様になっていく可能性があるかという予測を立てていくことが大切ではないかと思います。欠損はレントゲンなどで簡単に確認することが出来ますので、まずはそういったチェックをして見ることをお勧めします。

矯正治療に来られる方は、癒合歯以外で歯が欠損している方もいますし、事前に欠損が分かっていれば治療の選択肢を増やせる可能性もあります。歯列矯正医はこういった問題を治していけるように治療計画を立てて、治療を行っています。そのため、もしお子さんに癒合歯が見受けられたなら、時間のあるときに一度検査してみてはいかがでしょうか。その上で、今はこのまま様子を見た方がいい場合や、治療を行っていくことをお勧めする場合など状況に応じた適切な提案が出来るように心掛けています。