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CLINIC
院長ブログ
2017.1.27
矮小歯はすぐに治療が必要か?

こんにちは。
メープル矯正歯科の山口です。

今日は「矮小歯はすぐに治療する必要があるか」、ということに関して考えていきたいと思います。

そもそも矮小歯に関してはあまり知られていないかもしれません。「わいしょうし」と読みますが、極端に歯が小さく、形態も違う状態(通常はシャベルのような形をしていますが、円柱状の形が多い)を指します。たまに学校などの歯科検診の際に矮小歯と診断されて驚かれる方もいらっしゃって、すぐに治療しなくてはいけないものですか?と相談を受けることがあります。

矮小歯の原因は大体が遺伝などの先天的なもので、ビタミンDの不足が考えられています。現代人は軟らかいものを食べるようになり、顎の骨も小さくなってきているため、これに合わせて歯が小さくなってきているという説もあります。大体矮小歯になる歯は、前歯(真ん中から2番目の前歯が多い)か、智歯(親知らず)で、前歯が矮小歯になると見た目(審美面)にも問題が出ています。

この矮小歯ですが、すぐに治療しなくてはいけないかというと必ずしもそうとも限りません。

先に矮小歯の問題を見てみると、上に書いたようにまず見た目です。ただ親知らずが矮小歯の場合、あまり見た目は関係ありません。次に考えられる問題としては不正咬合、特に隙っ歯です。前歯が矮小歯だと通常の歯と比べると小さいため、隣の歯との間に隙間が出来やすく、更に磨き残しが生まれやすいことから齲蝕(虫歯)リスクが考えられます。また歯の幅が小さいため、上下の歯の噛み合わせバランスにも問題がある為、咀嚼機能の低下、そして変な噛み癖がつくことから顎関節への悪影響がうまれ、顎関節症へつながってしまうこともあります。

問題を見てみると治療の必要性に焦ってしまうかもしれませんが、顎の骨に合わせて歯のサイズが小さかったという場合は隙間もなく自然というケースもゼロではありません。そのため、問題になっているか、今後の歯並びや噛み合わせ、虫歯などのリスクが考えられるかを正確に見ていき判断すればと思います。

そのうえで治療が必要になった場合はいくつかのアプローチがあります。

レジン(専用の接着剤)やセラミックなど被せ物を使用して歯のサイズを上げ隙間を埋める治療があります。治療自体にそれほど時間がかかるものではないのですが、長い目で見ると定期的なメンテナンスは必要になります。また隙間を埋めても上下の歯のバランスが治っていないと結局、顎関節まで問題がつながってしまいます。

矯正治療の場合は歯並びを上下の噛み合せを整えていくため、上記の治療とは違って長く安定した咬合を手に入れることにつながります。

矮小歯自体すぐに治療が必要ではないかもしれませんが、不正咬合の原因や顎関節の問題へとつながるリスクを考えると矯正治療が必要になる場合もあります。あくまでしっかりと検査し、判断していくのがベストだと思いますので、気になる場合は矯正専門医に相談してみてはいかがでしょうか。